増谷淳子が日常の体験から感じること

6.夏場に依頼をいただく、建設現場の職人さんのマナー講演


■「建設現場の職人さんのマナーって?」

この時期に建設会社様やハウスメーカー様から、「安全大会」の講演依頼を受けることが多いです。

一般企業様での研修時に、「昨日は建設現場の職人さんを対象にした講演だったのですよ」とお話しすると、「職人さんに対してどのようなお話しをするのですか?」と興味津々に聞かれます。「建設現場の職人さんのマナーアップ」というテーマでお話しすることが多いと申し上げると、「職人さんのマナーって?どんなことですか?」「一般企業のマナーとは違いますよね」と、返ってきます。一般的には「職人さん」と「マナー」とは結び付かず、イメージしにくいようですね。

■技術はよくて当たり前。マナー・コミュニケーション力で差別化を図る

私自身、安全大会での講演は某ハウスメーカー様からのご依頼で、約5年間、全国各地を回りました。その折に思ったのが、職人さんの素晴らしい技術だけでなく、マナーやコミュニケーション力による差別化は、今の時代必須だということです。

「住宅」は人生の中で、最も高価な買い物。だからこそ、お施主様の期待値が高くなるのは当然です。今は「会社」や「商品」だけでなく、「そこで働く人」でも選ばれます。職人さんの「挨拶や声かけ、日常の振る舞い」「礼儀正しさや気配りのある対応」「現場の整理整頓、清掃」等。これらマナーの善し悪しによって、お施主様や近隣の印象は大きく変わり、信頼や安心感を得やすくなります。私は一人でも多くの職人さんにこのことに気づいていただき、実践することで、お施主様から好評価を得ていただきたいと思っています。そのお手伝いをするべく、ご担当者様だけでなく現場の声もヒアリングさせていただきました。こうして現場の職人さんに必要なマナーやコミュニケーション力を講演内容に落とし込み、実習も交えて講演や研修の場で楽しく学んでいただいています。

■「職人さんの第一印象は?建設現場の印象は?」

私のこれまでの体験で感じる職人さんの第一印象は・・・というと、正直あまりよくありません。どちらかというと話しかけにくい雰囲気や、不愛想な印象に映る方が多いです。しかし、話してみるとその印象が覆されることがほとんどです。言葉数が少ない、表情が硬い、態度がマイナス印象に映ってしまうことから、印象を悪くしているように感じます。見えていない内面部分、たとえば誠実さや真面目さ、仕事に対する強い想いやこだわりなどは第一印象では伝わりにくいものです。だからこそマナーを習得することで、印象をよりよくしていただきたいのです。

■建設現場の印象は見えるところで判断される。だからこそマナーは重要

さらに、建設現場は一般的に近隣から歓迎されませんし、好意的に見られていません。

なぜなら、「ホコリがして洗濯物が干せない」「うるさい」「汚れる」「車の出入りが多くなる」等のマイナス要因から入るからです。こうした状況下で仕事をするため、近隣の方との関係づくりや配慮がとても大切になります。お施主様や近隣の方は見えるところで判断します。職人さんの技術のよさは素人には見えないし、よくわかりません。しかし、「現場がきれい」「職人さんのマナーがいい」というとはすぐにわかります。お客様は見えるところで比較し、判断しているのです。現場に携わる一人ひとりの職人さんの行動、マナー、造る工程、取り組む姿勢が、会社のブランドイメージを高め、お施主様から選ばれる要素となります。

技術力プラス現場のマナーアップを実践することで、お施主様の信頼度を高め、ご満足いただける仕事を目指していただきたいと願いながら、今日も安全大会の講演に臨みます。
「皆様、ご安全に!」


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